「再会」
待ちわびて
待ちわびて
夢に見て夢で会い
今日触れる
あなたのくちびる | 「往時のフィレンツェ」
石畳に立ち止まり
瞳閉じれば
時の流れは遡り
微かに聞こえる馬車の響き
仮面の男と女が通り過ぎる | 「夏の昼下がり」
炎天に
風がとまり
すべてが眠り
時間(とき)とまり
気配無し |
「ナイター」
港に霧が降り
灯りがけぶり
ざわめきがくぐもる
スタジアムに
白く流れて落ちる | 「夏」
高き陽の
熱気の中で
生い茂る
小さな庭の
夏草を刈る
| 「初恋の頃」
甘くて切なくて
苦しくて可笑しくて
狂おしかった
女の子の日の
恋し恋 |
「浴衣の人」
涼やかに
きりり浴衣の
胸元が
そっと恋うる
あつく恋うる | 「過ぎ去りし日」
燃えて焦がれて
焦がれて燃えて
燃え尽きて
倒れて死んで
生きてきました | 「おもい」
目の前を
ゆったり歩く
黒猫が
かなたへと
消えてゆく
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